🌱 リスク及び機会とは?環境側面との違いは?
ISO14001(環境マネジメントシステム)を運用している企業から、非常によくいただく質問があります。
- 「リスク及び機会って、結局どうやって決めればいいの?」
- 「環境側面と何が違うの?どう使い分けるべき?」
このテーマは、ISO14001:2015で追加された重要要素でありながら、最も誤解されやすい部分です。
1. 🔍 ISO14001における「リスク及び機会」の定義
ISO14001規格では、リスク及び機会を次のように定義しています。
「環境マネジメントシステム(EMS)が期待される成果を達成するために、不確実性(リスク)と可能性(機会)を整理し、対応すること」
ここで押さえておくべき重要ポイントは2つです。
⚡ リスク=「不確実性の影響」
一般的に「リスク=悪いこと」と思われがちですが、ISOでは
👉 良い方向にも悪い方向にも振れる“不確実性”
を指します。
🌟 機会=「プラスの影響をもたらす可能性」
環境パフォーマンスの向上、コスト削減、ブランド価値向上など、
👉 企業にとってのチャンス
を意味します。
2. 🔗 「環境側面」と「リスク及び機会」の違い・見分け方
よく混同されるこの2つですが、視点と対象がまったく異なります。
🌿 環境側面
- 視点:組織の活動 → 環境への影響
- 内容:環境に影響を与える“原因”(インプット・アウトプット)
- 例:廃棄物、電気使用、排水、化学物質
- 覚え方:「組織と環境の接点(モノ)」
⚠️ リスク及び機会(Risk & Opportunity)
- 視点:EMSの成果 → 組織・経営への影響
- 内容:目標達成を左右する“不確実性”や“改善のチャンス”
- 例:法令改正、気候変動リスク、新技術による省エネ機会
- 覚え方:「経営や仕組みに影響する出来事(コト)」
3. 🧭 実務で使える「リスク及び機会」の洗い出し 3ステップ
難しく考える必要はありません。
規格の要求事項(4.1 組織の状況、4.2 利害関係者のニーズ)に沿って整理すればOKです。
① EMSで実現したい成果を明確にする
- 法令順守
- 環境目標の達成
- 事故・緊急事態の防止
- 経営リスクの低減
② 利害関係者の期待・ニーズを整理する
- 近隣住民
- 顧客
- 行政
- 社員
- 脱炭素・省エネなどの外部環境の変化
③ 成果を妨げる要因(リスク)と、促進する要因(機会)を特定する
①②を踏まえ、リスクと機会を特定する。
リスクの例
- 法令改正への対応遅れ
- 廃棄物管理の不備
- 気候変動による洪水・停電
- 教育不足による作業ミス
機会の例
- 省エネ設備導入によるコスト削減
- デジタル化によるペーパーレス化
- リサイクル率向上による顧客信頼獲得
4. 🛠 リスク及び機会の評価方法(点数法に頼らない)
点数法(発生頻度 × 影響度)は便利ですが、
👉 計算すること自体が目的化しやすい
という弱点があります。
そこで実務では、次のような 「判断基準方式」 が有効です。
【評価の判断基準例】
- 法令違反につながるか
- 過去に事故・苦情があるか
- 経営や社会的信用に影響するか
- 気候変動の影響を受けやすいか
- 改善の余地があり、競争優位につながるか
点数よりも、
👉 YES/NOで判断できる基準の方が現場に定着しやすい
というメリットがあります。
5. 🔗 リスク及び機会の計画(運用のコツ)
特定したリスク・機会は、必ず「計画」に落とし込みます。
- 環境目標とのリンク
重要なリスクや機会は、環境目標として設定し、優先順位を上げる。 - 活動計画の作成
単年度だけでなく、中長期計画として
👉 数値化できる目標・できない目標
に分けて管理する。
6. ⚠️ 要注意!よくある誤解・失敗例(形骸化のサイン)
以下の状態は要注意です。
- リスク=悪いこと、と決めつけている
- 気候変動リスクを考慮していない
- 点数をつける作業が目的化している
- 審査直前に書類だけ作っている
- 経営リスクと環境リスクがつながっていない
これらはすべて、ISO14001が形骸化し、本来のメリットを失う原因です。
✅ まとめ:リスク及び機会は“経営と環境をつなぐ架け橋”
リスク及び機会は、ISO14001の中でも
「経営と環境を統合する」ための最重要ハブ です。
ここを正しく押さえることで、ISOは
- 「審査のための事務作業」から
- 「会社を強くする未来戦略ツール」へと進化します。
変化の激しい時代において、
リスク及び機会の管理は、不確実性を味方につける“最強の経営武器”
と言えるでしょう。
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