💡 QMS審査の「不納得な指摘」への向き合い方|ISO9001・品質マネジメントシステムの事例解説
先日、私が支援させていただいたお客様の
QMS(品質マネジメントシステム/ISO9001審査) が無事終了しました。
しかし、お客様経由で確認した審査員の「指摘事項(観察事項)」の中に、
私自身、少し納得がいかないものがありました。
ISO審査での不納得な指摘への対応方法について、皆さんはどのようにお考えでしょうか。
🧐 観察事項の概要:「新規顧客獲得の仕組みがない」
今回、審査員から出た観察事項は以下の点です。
- お客様の現状: 該当のお客様は、数十年にわたり特定の大手企業様からの安定した受注のみで事業を継続されており、
新規顧客を獲得する活動を一切行っていません。今後も新規顧客開拓の予定はありません。 - 審査員の指摘: 「貴社には、新規顧客を獲得するための業務の仕組みがなく、
また、新規顧客向けの書類フォーマット(例:引合い管理表など)が存在しない。
よって、これらを仕組みを構築し、文書化すべきである。」
この指摘を聞いたとき、私の中に疑問が湧きました。
「現状、存在しない業務の仕組みやフォーマットを作成することに、
本当に意味があるのだろうか?」
🤔 「規格適合」と「業務の実態」のジレンマ
QMS(品質マネジメントシステム)は、組織の状況や提供する製品・サービスに応じて柔軟に適用されるべきものです。
もし、将来的に新規顧客獲得の可能性が1%でもあるなら、リスクとして考慮し、
そのためのプロセスを簡素に用意することは理にかなっています。
しかし、「今後一切予定がない」という組織の決定がある場合、どうすべきでしょうか。
✅ 私の助言
私としては、お客様に対し、以下の通り助言しました。
「現時点で、新規顧客獲得の予定がないことは、組織の事業戦略として明確です。
この観察事項は、念のため、今後の事業環境変化のリスクとして検討した記録を残した上で、
『現状、当該業務は存在しないため、仕組みやフォーマットの作成は行わない』と判断し、
未実施とする方向で進めてはいかがでしょうか。」
【ポイント】ISO審査での観察事項対応の考え方
- 指摘を無視するのではなく、「検討した」という証拠(記録)を残す。
- 組織の実態に基づいて、意図的に「実施しない」という決定を下す。
- ISO9001審査対応では、形式的な文書化よりも、事業戦略との整合性が重要。
📌 まとめ|QMS審査における「実態と規格のバランス」
QMSは、事業を円滑に進めるための「ツール」です。
このブログ記事では、ISO9001審査における「不納得な指摘」への対応事例を紹介しました。
この内容が、読者の皆さんが ISO審査対応の考え方を深めるきっかけ となれば幸いです。
弊社コンサルティング・研修のお問合せ: こちら

