ISMSリスクアセスメントの形骸化を防ぐ方法|「変化なし」を打破する質問力とは?

ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)において、情報セキュリティリスクアセスメントは、
最も重要なプロセスの一つです。
これは、組織の情報資産に対するリスクを特定・分析・評価し、 優先順位をつけて対策を講じる一連の流れを指します。


よくある課題:毎年同じ結果になるISMSリスクアセスメント

ISMS認証を取得している企業でも、リスクアセスメントが形骸化しているケースが多く見られます。
その原因の一つが、担当者がアセスメントルールを十分に理解していない
または形式的に実施していることです。

結果として、毎年同じリスク評価が繰り返され、実質的な改善が見られない状況に陥ります。


「業務に変化がない=リスクも変わらない」は誤解

担当者からよく聞くのが以下のような回答です:

「当社業務に大きな変化がないため、リスクも同じになります。」

しかし、業務フローが変わらなくても、リスクは変化します
例えば以下のような要因が挙げられます:

  • クラウドサービスの変更や追加
  • 取引先との情報共有方法の変化
  • サイバー攻撃のトレンドや法改正

これらはすべて、新たな情報セキュリティリスクの発生要因となり得ます。


形式的なアセスメントを打破する「質問力」

形骸化したアセスメントを打破するには、対話型の質問が有効です。
例えば、以下のような問いかけを行うことで、潜在的なリスクが浮かび上がります:

「情報の取り扱い方について、今、課題・気になること・検討すべきことはありますか?」

この質問により、「リモートワーク環境でのデータ共有が不安」、
「新しい営業ツールでの情報漏洩が心配」といった実際の懸念事項が明らかになります。

それらはすべて、リスクアセスメントに反映すべき重要な情報です。


まとめ:ISMSリスクアセスメントを定着させるには

  • 業務の変化だけでなく、外部環境の変化にも着目する
  • 形式的なチェックリストではなく、対話によるリスク抽出を行う
  • 「課題」「不安」「懸念」からリスクを導き出す質問力を養う

こうしたアプローチにより、ISMSリスクアセスメントの定着化と実効性の向上が期待できます。


よくある質問(Q&A)

Q1. 業務が変わっていないのに、リスクが変化するのはなぜ?
A1. 外部環境(法改正、サイバー攻撃の手法、クラウドサービスの仕様変更など)が変化するため、リスクも変化します。

Q2. どうすれば形骸化を防げる?
A2. 担当者が「課題」「不安」「懸念」を引き出す質問を行い、形式的なチェックではなく実態に即したリスク評価を行うことが重要です。
または、コンサルタントに現行ルールの見直し等を相談する方法もあります。

Q3. リスクアセスメントの見直し頻度は?
A3. 少なくとも年1回、または業務・環境に大きな変化があった際に見直すべきです。


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